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【感想】予言の島(澤村伊智)



感想も旅行日記も全然進まない。




予言の島(澤村伊智)


★★★★
単行本(2019-03-15)


(2020年7月)


本は最後のまとめから読んだ方が早いと思うので、
ネタバレ真相っぽい「おかんはそう考えて、沙千花さんを殺したんです」から全体をざっと見。

土着ホラー期待してたけど、一番のオチはこの、「母親(毒)がずっと主人公に同行していた(終いには殺人を犯す)」という点(だと思われる)
息子(30後半)にくっついて彼の交友の中に混ざり、しかもその友達を呼び捨てにして会話に混ざってくる母親…。
↑の時点で既におかしいので、「予言」を信じて人を殺してしまう、という展開でもまあ分かるかな、と思った。


一度戻って全体ずっとパラパラして「こいつの親なんて出てこないじゃん」と思っていたら
「俺が訊かれたことを俺より先に答えて、俺が人と話してる最中に~」で、意味が分かった。
途中友達が不自然に敬語になったり、いちいち「淳さんは」と書いてあったり。
主人公の「淳」は「あつし」ではなく「じゅん」


「くろむし」とか「ヒキタの呪い」とかそれっぽいのは出て来るけど、ホラーというか怪談要素はそこまでで、あとは叙述トリック(というのか)だった。
作中でも三津田、と出てくるし雰囲気もかなり似ていると思ったけど、そこまで怖くないし、何というか文章も読みやすい。
疋田某の言い伝えの描写なんも↑の人と比べるとあっさり気味の描写でいまいち怖くない。
鳥葬と山魔は面白かった。


「過剰な母子関係」、「怨霊の呪いは実は産廃の毒ガス」というのも、それぞれ「遠藤親子(晶子と伸太郎)」と「豊島直島の産廃問題」にヒントが。
こういう事件の核心(とか)を暗に示すような描写が入っているのもそれっぽい。
「言葉は呪いにも祝いにもなる」とか、「一番怖いのは生きている人間(の狂気)」とか。
怖いの期待すると違うけどこれは楽しく読めた。





↓自分用あらすじ



(冒頭で20年前の島の出来事、宇津木幽子(と孫の沙千花が)島に心霊番組のロケに来ている)


友人がパワハラで失職したのをきっかけに、旧友2人(春夫、宗作)と、瀬戸内の島に旅行に行く事になった主人公の淳。
目的はかつてハマっていた霊能者(宇津木幽子)の予言を確かめに行く事。
その予言とは「次の8月25日から26日未明にかけて、霧久島(↑の目的地)で人が6人死ぬだろう」というもの。


道中「島に行ってはいけない」と警告されながらも一行は無事島へ。
しかし島について早々「明日は怨霊が山から降りてくるから」という島民、仕方なく移住者の経営する別の宿へ移動。
同宿には宇津木沙千花(偽名が江原数美)、虚霊子(幽子の信者)、遠藤親子(共依存的な親子)。

ここで春夫が「直島豊島問題」について発言。



その夜、豪雨のなか友人の一人、春夫が海で浮いているのが発見される。これが一人目。
しかし死因は溺死ではなく撲殺。
島民への不信感からもう一人の友人、宗作も飛び出してしまい、それを追いかけ島の駐在(橘)の家に向かうも死亡している橘を発見。これが二人目。
家の裏口からさらに宗作を追うと、窪地で意識不明の宗作と、島民の一人、古畑と遭遇。
古畑はそのまま「怨霊の祟りじゃ!」と言い残し消える。


宗作を連れて宿に戻る主人公。
予言は読み手側がどうとでも解釈できるし、霊視は事前調査と対面観察が上手いだけ。
沙千花は一人で山へ。


島民が駐在の件で因縁をつけに来たところでサイレンが鳴り、引き上げる島民たち。
実はこのサイレンは「山から産廃の毒ガス(彼らが怨霊と呼んでいるもの)が降りてくる知らせ」
何も知らない主人公たちよそ者を置いて去っていく島民。
直後山から沙千花が帰還。
避難の最中、島民の老人2人が毒ガスに巻かれて死亡。三人目と四人目。


山頂に避難後、沙千花が「怨霊は島の産廃から発生する硫化水素である」事をネタバレ。


空気より重い硫化水素は普段なら集落まで降りてこないが、大雨と強風の組み合わせで集落まで到達する。
この降りてきた硫化水素による症状が島民が言うところの「怨霊(隠語)」
彼らはこれが問題になりかけていた頃島にやってきた霊能者(宇津木幽子)を利用し、その言葉を借り産廃の不法投棄を隠し続けてきた。
伝承「ヒキタの怨霊」もその頃に考えられたもので、島民たちにとってはあくまで島の秘密を隠蔽する為のもの。
炭で出来た「くろむし」も実はただの脱臭用。


その流れで真相に気付いた春夫を殺した(動機は↑の秘密を守るため)のは駐在の橘であることが判明。
そこに古畑(実は冒頭の比呂くん)が銃をもって乱入。


駐在を殺したのは彼で、こちらの動機は「怨霊が作り話だったから」
両親をそれで亡くし、自身も島民を怨霊から守るため(と思い込んで)に生きていたのに、それが駐在と宗作の会話で事実発覚。
そのまま勢いで橘を撲殺、→「怨霊の祟りじゃ!」へ。
古畑の外見が老人なのは両親を亡くしておかしくなってしまったから、らしい。



一度は古畑を取り押さえるも逃げられてしまい、そのまま彼は住処にしている廃校で自殺。五人目。
沙千花と淳(+母)が彼を追うが、既に死んでいる古畑を目にした淳母が「息子が予言の六人目になるのでは」と思い込み沙千花を殺害。六人目。

彼女の死でついに淳が母親を告発、それが読み始めの「おかんはそう考えて~」のところ。
ここでようやく「実は今までずっと淳の母親が彼らと一緒に行動していた(物語内に最初から登場していた)」事が明かされる。
「朝までにあの場で殺せるん、沙千花さんしかおらんかったから」


六人(+母)は宇津木幽子の呪いにかかってしまったが、淳は最後の一件でようやく母親の呪いから逃れることができた。
最後に沙千花の数珠を引きちぎって海に投げ込む描画(今までの悪縁を断ち切った?)があって、おしまい。





…個人的にいじめられっ子が使っていたのが「けろけろけろっぴ」の便箋、というのがなんかハマった。
この人の作品こういう細かい所で引っかかることが多いんだけど、モデルになった出来事とか人がいるんだろうか?



<巻末参考>


・絶海の孤島 増補改訂版(カベルナリア吉田)
どっかで見た事ある名前だと思ったら離島本の人だった。

・禁足地帯の歩き方(吉田悠軌)

◎獄門島(横溝正史)
読もうと思って手付かず。

・天狗の面(土屋隆夫)





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